急なお別れの知らせに、何を着ていけばいいか、髪はどう整えるべきか戸惑ってしまいますよね。葬儀の場では「おしゃれ」よりも「故人への敬意」が何よりも優先されます。服装を整えても、髪がボサボサだったり派手すぎたりすると、周囲に落ち着かない印象を与えてしまうかもしれません。
この記事では、葬儀にふさわしい髪型の基本から、やってしまいがちなNG例まで、誰でもすぐに実践できる形でお伝えします。この記事を読めば、自信を持って最後のお別れに臨めるようになりますよ。
葬式の髪型で守るべきマナーは「お辞儀をした時に顔が隠れないこと」
葬儀では、受付や焼香、お別れの挨拶など、何度もお辞儀をする場面があります。そのたびに髪が顔にかかってしまい、手で何度も直すのはあまりスマートではありません。清潔感があり、相手に安心感を与えるスタイルが理想です。
まずは「顔をしっかり出すこと」を意識しましょう。髪が長い方はもちろん、短い方でも前髪や横の髪が目にかからないように整えるのが鉄則です。ここでは、具体的にどうまとめれば失礼にならないのかを詳しく見ていきます。
耳より下の低い位置でひとつに結ぶ
髪をひとつにまとめる時は、耳より下の「うなじ付近」で結ぶのが基本です。これを「ローポニー」と呼びますが、葬儀ではこの高さがもっとも落ち着いた印象を与えます。
逆に、耳より高い位置で結ぶポニーテールは、お祝い事や元気な印象を与える「慶事用」のスタイルとされています。悲しみの場である葬式では不適切になるため、必ず低い位置で固定しましょう。
- 結ぶ位置は「盆の窪(ぼんのくぼ)」と呼ばれる、首の後ろのくぼみあたり
- 耳を出すことで、表情が明るく清潔に見える
- 高すぎる位置は「華やかさ」が出てしまうので避ける
前髪を斜めに流しておでこや眉を見せる
前髪は、目にかからない長さに整えるか、斜めに流してピンで固定しましょう。おでこや眉が見えることで、表情が相手に伝わりやすくなり、誠実な印象を与えます。
特に焼香の時は下を向くため、長い前髪が垂れ下がってくると非常に邪魔になります。スプレーやワックスで固めるよりも、黒いアメピンを使って内側で留めると、見た目もすっきりして自然ですよ。
- 前髪が目にかかると、暗くて重い印象になってしまう
- 眉毛が見える程度まで上げるのがベスト
- ピンを使う時は、飾りのない黒色のアメピンを選ぶ
後れ毛や遊び毛をピンでしっかり固定する
最近のトレンドである「後れ毛を出すスタイル」は、葬儀の場では「だらしない」と見られてしまいます。顔周りや襟足から出ている毛は、ワックスやピンを使ってすべてタイトにまとめましょう。
特にサイドの髪を耳にかけずに出したままにするのはNGです。お辞儀をした時に髪がバサッと落ちてこないよう、耳の後ろでしっかり留めておくのがマナーですね。
- サイドの髪は耳にかけて、顔の輪郭を出す
- アメピンは本数を最小限にし、髪の中に隠すように留める
- 短い毛が飛び出す場合は、まとめ髪専用のスティックワックスが便利
男女別でこれだけは絶対に避けたい髪型のNG例
良かれと思ってセットした髪型が、実はマナー違反だった……というケースは意外と多いものです。基本は「何もしないこと」ではなく「目立たないように整えること」にあります。
ここでは、特に注意したいNG例を3つ挙げました。ついやってしまいがちな「華やかなスタイル」や「手抜きに見えるスタイル」をチェックして、失敗を防ぎましょう。
派手なシュシュや光るヘアアクセサリー
髪をまとめる際に、キラキラしたビジューが付いたゴムや、サテン地の光沢があるシュシュを使うのは厳禁です。葬儀では「光るもの」を避けるのが鉄則だからです。
ヘアアクセサリーは、基本的に「黒で無光沢」なもの以外は使いません。金属の連結パーツが目立つものや、パールの装飾も、葬式では避けたほうが無難です。
- 黒以外の色のゴム(茶色や紺も避けるのがベター)
- エナメル素材やベロアでも光沢が強いもの
- ブランドロゴが大きく入ったバレッタ
結婚式のような編み込みや巻き髪のセット
華やかな編み込みや、コテでしっかり巻いた「盛り髪」は、パーティー用のスタイルです。葬儀はファッションを披露する場ではないため、こうした手の込んだ髪型は控えましょう。
髪が広がりやすい方は、巻いてボリュームを出すのではなく、ブローですっきりとストレートに整えるか、低めのお団子にまとめるのが正解です。
- トップにボリュームを出す「逆立て」
- 顔周りを華やかに見せる「ハーフアップ」
- 複雑な三つ編みやフィッシュボーン
放置してボサボサになったままの寝癖
「派手じゃなければいい」と思って、何もせずに参列するのも考えものです。整えられていないボサボサの髪や、はっきり残った寝癖は、故人への敬意が足りないと受け取られかねません。
特に短髪の方は、後ろ髪のハネなどが目立ちやすいです。最低限、ブラシで整えて清潔感のある状態にしてから会場に向かいましょう。
- 乾燥してパサパサに広がった髪
- フケが肩に落ちている状態
- 前日のセットが残って固まっている髪
男性の髪型で清潔感を出すために気をつけるべき注意点
男性の場合は、女性よりも「清潔感」と「短さ」が重視されます。髪が耳にかかっていたり、襟足が長すぎたりすると、野暮ったい印象を与えてしまうので注意が必要です。
また、整髪料の使い方にも男性特有のルールがあります。普段のセットとは少し違う、葬儀用の「落ち着いた整え方」を確認していきましょう。
襟足や耳周りを短く切り揃えておく
男性は、耳が完全に見える長さが理想です。襟足がスーツの襟にかかってしまうほど長い場合は、少し短くカットするか、ワックスでタイトに抑えましょう。
特に、いわゆる「ウルフカット」などの襟足が長いスタイルは、葬儀の場では少し遊びが過ぎる印象を持たれます。全体的に短くまとめるのが、一番安心な選択です。
- 耳に髪がかからないよう、横の髪を後ろに流す
- 襟足はシャツの襟にかからない程度にする
- もみあげを長く残しすぎない
ツヤが出すぎるジェルやグリースは使わない
普段、ジェルやグリースでバリバリに固めてツヤを出している方は、葬儀の日だけは控えましょう。テカテカと光る髪は、弔事の場では不自然に浮いてしまいます。
使うなら、ツヤを抑えた「マットタイプ」のワックスがおすすめです。適量を手に取り、髪の流れを整える程度にとどめるのが、自然で上品な仕上がりになります。
- ウェット感が出る整髪料は避ける
- 香料が強いワックスは、密閉された斎場で迷惑になる可能性がある
- あくまで「寝癖を直して整える」くらいの量にする
前髪を上げて明るい表情に見せる
前髪を垂らしていると、どうしても顔が隠れて暗い雰囲気になりがちです。男性の場合は、前髪を軽くアップにするか、横に流して額を出すと、非常に好印象になります。
眉毛をしっかり出すことで、凛とした弔意の姿勢が伝わります。お辞儀をしても崩れないよう、スプレーで軽く固定しておくと安心ですね。
- アップバングにする際は、高さを出しすぎない
- 前髪を下ろす場合は、目にかからない長さで分ける
- センター分けよりも、7対3くらいの落ち着いた分け目にする
女性が葬式のマナーとして意識したい髪のまとめ方
女性は髪の長さによって、まとめ方が変わります。共通して言えるのは「タイトに、低く、シンプルに」という3つのポイントです。
肩より長い髪の方は、ただ結ぶだけでなく、さらに一工夫することで「慣れている」感じの落ち着いた雰囲気を作れます。具体的なまとめ方の種類を見ていきましょう。
うなじに近い位置で作るシニヨンスタイル
一番のおすすめは、低い位置でお団子を作る「シニヨン」です。これなら長い髪もコンパクトに収まり、お辞儀をしても一切邪魔になりません。
シニヨンを作る時は、お団子の位置が横にズレないよう、中心で固定します。毛先が飛び出さないように、ネットや黒いアメピンを使ってしっかりしまい込みましょう。
- お団子の高さは、耳のラインより必ず下にする
- 三つ編みをお団子にするのは、少し華やかすぎるので避ける
- 髪が太い人は、先にひとつ結びにしてから巻きつけると崩れにくい
髪が長い場合は黒いゴム一本ですっきり見める
「お団子にするほど長くはないけれど、肩にはつく」という長さなら、シンプルにひとつ結びにするだけで十分です。この時も、使うのは飾りがない黒いゴムだけにしましょう。
髪を耳の後ろでぴっちりとまとめ、後頭部の表面をブラシで綺麗に整えます。手ぐしでざっくりまとめるのではなく、クシを使って表面を滑らかにするのがコツです。
- ゴムの結び目は、自分の髪で隠すとより丁寧に見える
- 結ぶ位置は、首筋に沿うくらいの低さ
- ゆるく結ぶのではなく、ある程度タイトに結んで崩れを防ぐ
お辞儀をした時にバラバラと落ちない工夫
葬儀は長時間に及ぶことが多く、気づかないうちに髪が乱れてくることがあります。特に「お辞儀のたびに横の髪が落ちてくる」のは、参列者として避けたい事態です。
あらかじめサイドの髪に少量のワックスを馴染ませてから結ぶと、短い毛が落ちてきにくくなります。仕上げにハードスプレーを遠くからさっと吹きかけておけば、一日中綺麗な形をキープできますよ。
- 焼香でお辞儀をした時に、髪が香炉に触れないよう注意
- 短いサイドの髪は、耳の後ろでピン留めする
- ワックスはベタつかない「ソフトマット」なものを選ぶ
葬式での髪型と合わせて確認したい髪色の注意点
髪型と同じくらい、あるいはそれ以上に目立つのが「髪の色」です。基本的には黒髪が理想ですが、普段から明るい色に染めている方も多いですよね。
急な葬儀で美容院に行けない時、どう対処すれば失礼にならないのでしょうか。明るい髪や、最近流行りのデザインカラーへの対処法をご紹介します。
明るい茶髪や金髪を一時的に黒く染める方法
金髪や、かなり明るい茶髪のまま参列するのは、マナーとしておすすめできません。急ぎの場合は、市販されている「髪色もどしスプレー」を使いましょう。
シャンプーで落ちるタイプのものなら、葬儀が終わった後にすぐ元の色に戻せます。ただし、服を汚しやすいので、必ずタオルで肩を覆ってからスプレーするようにしてください。
- ムラにならないよう、家族や友人に手伝ってもらう
- スプレーした後は、しっかり乾かさないと服に色がつく
- 自然な黒色を選ぶ(青みがかった黒は避ける)
白髪が目立つ場合は事前にリタッチしておく
白髪を染めている方は、分け目の白髪が目立っていないかチェックしましょう。白髪自体がマナー違反ではありませんが、放置されて「手入れが行き届いていない」ように見えるのは避けたいところです。
葬儀まで時間がない時は、マスカラタイプのリタッチ剤や、ファンデーション型の白髪隠しが便利です。サッと塗るだけで、清潔感が一気にアップします。
- 分け目やこめかみの目立つ部分だけでもカバーする
- 白髪がある場合は、髪をぴっちり結ぶと目立ちやすいので注意
- 帽子を被って隠すのは、室内ではマナー違反になるので避ける
インナーカラーやハイライトを隠すまとめ方
内側だけ明るい「インナーカラー」や「ハイライト」を入れている場合は、結び方を工夫して明るい部分を隠しましょう。
髪をまとめるときに、明るい毛束を内側に巻き込むようにしてシニヨンにすると、外側からは黒髪だけが見えるようになります。どうしても隠しきれない場合は、やはり一時的な黒染めスプレーが役立ちます。
- ハーフアップにするとインナーカラーが見えてしまうので避ける
- お団子(シニヨン)の中に明るい部分をすべて入れ込む
- 表面の髪を上から被せるようにして結ぶ
葬儀の場にふさわしいヘア小物の選び方
「黒ければ何でもいい」わけではありません。葬儀には、悲しみの席にふさわしい素材や形があります。100円ショップなどでも手に入るものばかりなので、事前に揃えておくと安心です。
ここでは、髪を整えるために必要な小物の選び方を具体的に解説します。これさえ持っておけば、どんな葬儀でもマナー違反と言われることはありません。
飾りのない黒色の細いヘアゴム
ヘアゴムは、飾りが一切付いていない「黒いゴム」が鉄則です。太すぎるものよりも、中細くらいの太さの方が結び目が目立たず、スマートに見えます。
茶色や紺色のゴムは、本人は黒のつもりでも、光の下では色が目立つことがあります。必ず真っ黒なものを選んでくださいね。
- 連結部分に銀色の金具が付いていないもの
- 表面がざらついていないシンプルな丸ゴム
- 予備として数本持っておくと、万が一切れた時に安心
光沢を抑えたマットな質感のバレッタ
髪をまとめる際にバレッタを使うなら、素材にこだわりましょう。プラスチックや金属の光沢があるものではなく、布で覆われた「グログラン素材」などのマットな質感が最適です。
リボンが付いているデザインでも、平面的で控えめなものなら問題ありません。キラキラしたストーンがついたものは、弔事では絶対に避けましょう。
- サテン素材(光沢あり)よりもグログラン素材(光沢なし)
- 色は黒一色。刺繍や模様がないもの
- 大きすぎず、後頭部に収まるサイズ感
ネットを使ってボリュームを抑える工夫
髪の量が多い方や、うまくお団子がまとまらない方は、ヘアネットを活用しましょう。ネットの中に髪を入れ込むだけで、崩れにくく、見た目も非常に端正になります。
ネット付きのバレッタ(シニヨンじネット)を使うと、初心者でも簡単に格式高いスタイルが作れます。葬儀や法事などのフォーマルな場で重宝するアイテムです。
- ネットの網目が細かく、目立たないものを選ぶ
- お団子の位置が下がらないよう、土台をしっかり固定する
- リボンが大きすぎるものは避ける
子供や学生が参列する時の髪型はどう整える?
お子さんや学生さんが参列する場合、大人ほど厳格なルールはありませんが、やはり清潔感は大切です。基本的には「学校の校則」を守ったスタイルであれば問題ありません。
ただし、子供ならではの注意点もあります。あまりに自由すぎる格好にならないよう、親御さんがチェックしてあげましょう。
学校の校則に合わせた自然なスタイル
学生服で参列する場合、髪型も校則の範囲内であれば失礼にはあたりません。ただし、前髪が目にかかっている場合は、ピンで留めるか少しカットして、表情が見えるようにしてあげてください。
男子学生なら短く整え、女子学生なら長い髪を黒いゴムで結ぶ。これだけで十分、弔意は伝わります。
- 三つ編みは学生なら許容範囲だが、編みすぎないシンプルなものにする
- ワックスでツンツンに立てるようなセットは避ける
- 寝癖はしっかり直してあげる
キャラクターものや派手な色のゴムを外す
小さなお子さんの場合、普段使っているキャラクター付きのゴムや、ピンクや赤などの明るい色のピンは外しましょう。これだけでも、一気に葬儀の場にふさわしい雰囲気になります。
「子供だから可愛い格好を」と考えるのではなく、大人と同じように「落ち着いた姿」で故人を送ることを教えてあげたいですね。
- リボンや花などの大きな装飾は避ける
- ゴムは黒や紺、茶色の目立たないものに変える
- カチューシャは、黒で細いものならOK
乱れやすい子供の髪を整えるコツ
子供は動き回るため、時間が経つとすぐに髪が乱れてしまいます。特に葬儀は待ち時間が長いため、最初から崩れにくい髪型にしておくのがポイントです。
ひとつに結ぶ前に、薄く水やスタイリング剤をつけておくと、細い子供の髪もパラパラと落ちてきにくくなります。
- 三つ編みにしてから結ぶと、バラバラになりにくい
- 耳の後ろをアメピンでしっかり留めておく
- お辞儀の練習をして、髪が邪魔にならないか確認する
まとめ:落ち着いた髪型で、心からのお別れを
葬式での髪型は、おしゃれを楽しむためではなく、故人やご遺族へ失礼がないように整えるためのものです。難しく考える必要はありません。「黒・低い位置・顔を出す」という基本さえ押さえておけば、マナー違反になることはまずありませんよ。
最後に、これだけは覚えておきたい重要ポイントを振り返りましょう。
- 髪を結ぶ位置は、耳より下の低い場所(うなじ付近)にする
- お辞儀をした時に顔が隠れないよう、前髪や横の髪を固定する
- ヘアアクセサリーは「黒色・無光沢」なものだけを選ぶ
- 男性は耳を出し、ツヤの出ないマットな整髪料で整える
- 明るすぎる髪色は、一時的な黒染めスプレーなどで対処する
- 子供の髪も派手な飾りは避け、清潔感を重視してまとめる
悲しみの席では、見た目の華やかさよりも、あなたの「送る心」が大切です。髪型をきちんとしたマナーで整えることは、その心を表す最初の一歩。落ち着いた身だしなみで、大切な方との最後のお別れの時間を、静かに過ごしてくださいね。
