おくりびとの仕事として知られる納棺師とは?映画で一躍有名になった職務内容を解説!

葬儀の知識
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「納棺師(のうかんし)」という仕事をご存じでしょうか。2008年に公開された本木雅弘さん主演の映画『おくりびと』を見て、その存在を初めて知ったという方も多いはずです。映画の中では、美しい所作で故人を送り出す姿が印象的でしたが、実際にはどんな作業をしているのか、見えない部分もたくさんあります。

この記事では、納棺師が具体的に何をする仕事なのか、葬儀屋さんとは何が違うのか、そして気になるお給料の話まで、現場の事実をもとにわかりやすく解説します。大切な人を見送る日のために、この専門職について知っておくと、いざという時に役立つはずです。

  1. 映画『おくりびと』で話題になった納棺師とはどんな仕事?
    1. 映画で描かれた納棺師のイメージと実際の役割
    2. 遺体を棺に納めるだけではない心のサポート
    3. 病院で行うエンゼルケアと納棺師の処置の違い
  2. 納棺師の具体的な職務内容と儀式の流れ
    1. 硬直を解き身体を清める湯灌(ゆかん)の手順
    2. 白装束や故人のお気に入りの服へ着替えさせる技術
    3. 顔色を整え安らかな表情を作る死化粧のポイント
  3. 葬儀屋スタッフと納棺師は役割がどう違う?
    1. 葬儀全般の進行役と遺体ケア専門職の住み分け
    2. 葬儀社に所属する場合と専門会社から派遣される場合
    3. 現場で両者が連携して行う作業の範囲
  4. 納棺師になるために必要な資格やスキルはある?
    1. 特別な国家資格は不要だが求められる専門知識
    2. 民間の専門学校や養成スクールで学べる技術
    3. 未経験から弟子入りや就職をして技術を磨くルート
  5. 納棺師の給料や年収はどれくらいもらえる?
    1. 正社員として働く場合の平均的な給与水準
    2. 独立やフリーランスで働く場合の収入モデル
    3. 担当件数や指名によって変動する給与の仕組み
  6. 仕事をしていて大変なことや向いている人の特徴
    1. ご遺体の状態変化に対応する精神力と体力
    2. 悲しみの最中にいる遺族への言葉選びと配慮
    3. 24時間体制で呼び出しに対応する不規則な生活リズム
  7. 納棺師を依頼する場合の費用相場と頼み方
    1. 葬儀プランに含まれている場合とオプション料金の違い
    2. 湯灌を行うかどうかで変わる金額の目安
    3. 信頼できる納棺師を手配してもらうための確認事項
  8. この記事のまとめ

映画『おくりびと』で話題になった納棺師とはどんな仕事?

納棺師とは、亡くなった方の遺体を清めて棺(ひつぎ)に納めるための準備と儀式を行う専門職のことです。映画が公開される前は、葬儀社スタッフが兼任する作業のひとつとして見られがちでしたが、現在では高度な技術を持ったプロフェッショナルとして広く認知されています。ここでは、映画のイメージと実際の役割、そして病院で行う処置との違いについて見ていきましょう。

映画で描かれた納棺師のイメージと実際の役割

映画『おくりびと』では、遺体を棺に納めるまでの美しい所作や儀式性がクローズアップされました。実際、納棺師の仕事において「美しさ」は非常に大切です。しかし、現場では映画のように静かで厳かな場面ばかりではありません。遺体の状態は一人ひとり異なり、時には死後硬直が強く出ていたり、長期間の闘病で痩せ細っていたりと、難しい対応を迫られることもあります。

納棺師は、解剖学的な知識を使って硬直を解いたり、変色してしまった皮膚をカバーしたりと、かなり物理的で専門的な処置を行います。映画のイメージ通り「儀式を行う人」であると同時に、ご遺体の状態を可能な限り生前の姿に近づける「技術者」としての側面が非常に強い仕事です。

  • 衛生保全: ご遺体が傷まないようにドライアイスで冷却管理や防腐処置を行います。
  • 修復技術: 事故や病気で傷ついた部分を目立たないように修復します。
  • 儀式進行: ご遺族が見守る中で、厳かに旅支度を整えます。

遺体を棺に納めるだけではない心のサポート

納棺師の仕事は、単に作業として遺体をきれいにするだけではありません。最大の目的は、残された家族が故人の死を受け入れ、しっかりとお別れができる時間を作ることです。これを専門用語では「グリーフケア(悲嘆のケア)」とも呼びますが、納棺師は作業を通じてこの役割を担っています。

例えば、闘病生活が長くてお風呂に入れなかった故人の身体を洗ってあげることで、ご遺族から「やっとさっぱりさせてあげられた」という安堵の言葉が出ることがあります。納棺師は、物理的な処置を通してご遺族の「してあげたかったこと」を代行し、心のつかえを取る役割を果たしているのです。

病院で行うエンゼルケアと納棺師の処置の違い

よく混同されるのが、病院で亡くなった直後に行われる「エンゼルケア」です。エンゼルケアは主に看護師さんが行い、点滴の跡をふさいだり、身体を拭いたり、詰め物をしたりする「死後処置」のことを指します。これはあくまで、病院から自宅や安置所へ移動するための最低限の処置であることが一般的です。

一方、納棺師が行う処置は、より本格的で専門的です。看護師さんは医療のプロですが、死化粧や遺体の保存に関しては専門外です。納棺師は、時間が経つにつれて変化する遺体の顔色を予測して化粧をしたり、着替えさせやすいように硬直を解いたりと、葬儀が終わるまで美しい状態を保つための技術を持っています。

  • エンゼルケア(病院): 医療器具の抜去、清拭(身体を拭く)、簡易的な詰め物。目的は「退院の準備」。
  • 納棺(専門職): シャワーや入浴による洗浄、死化粧、着替え、防腐処置。目的は「お別れの儀式と保全」。

納棺師の具体的な職務内容と儀式の流れ

納棺の儀式は、ご遺族が見守る中で行われることが多く、所要時間は1時間前後が一般的です。「何をされているのかわからなくて不安」という方のために、具体的な手順を整理しました。厳粛な雰囲気の中で、故人を労うように丁寧に進められていきます。

硬直を解き身体を清める湯灌(ゆかん)の手順

「湯灌(ゆかん)」とは、お湯を使ってご遺体の身体や髪を洗う儀式のことです。昔はたらいにお湯を張って行いましたが、最近は専用の浴槽がついた湯灌車(ゆかんしゃ)で自宅を訪問したり、葬儀会館の専用設備で行ったりします。まず、硬直して動かしにくくなった関節を優しくマッサージしてほぐし、衣服を脱がせて肌が見えないようにバスタオルをかけます。

この時、「逆さ水」といって、水にお湯を足して温度調整をする独特の作法を使います(通常はお湯に水を足しますよね)。これには「逆のことをして、現世と区別をつける」という意味があります。シャワーできれいに洗い流し、洗髪をして顔を剃ることで、闘病中の苦しみや汚れをすべて洗い流し、さっぱりとした姿に戻します。

  • マッサージ: 硬直を解き、着替えさせやすい状態にします。
  • 洗浄: 専用のシャンプーやボディソープで全身を洗います。
  • 顔剃り・爪切り: 男性は髭を剃り、女性は産毛を整え、伸びた爪もきれいにします。

白装束や故人のお気に入りの服へ着替えさせる技術

身体を清めた後は、旅立ちの衣装への着替えです。伝統的な仏教スタイルであれば「白装束(しろしょうぞく)」と呼ばれる白い着物を着せますが、最近では「故人が気に入っていたスーツやドレスを着せたい」という要望も増えています。どちらの場合でも、ご遺体は自分で動けないため、着せ付けには高い技術が必要です。

納棺師は、ご遺族に肌を見せないように巧みにタオルや布団を使いながら、あっという間に着替えを完了させます。特に硬直が強い場合でも、関節や筋肉の仕組みを理解しているため、無理に引っ張ることなくスムーズに袖を通すことができます。まるで手品のようにきれいに着付けが終わる様子は、プロならではの職人技と言えるでしょう。

顔色を整え安らかな表情を作る死化粧のポイント

最後に、お顔の印象を決める「死化粧(しにげしょう)」を行います。亡くなった方は血色が引いて青白くなったり、少し黒ずんだりすることがあります。これをファンデーションやチークを使って、眠っているような自然な血色感に戻していきます。口が開いてしまっている場合は、含み綿(ふくみわた)を使って口元をふっくらと整え、自然に閉じさせます。

男性の場合でも、顔色が悪いとご遺族がショックを受けてしまうため、薄くファンデーションを塗って健康的な顔色に近づけることが多いです。ご遺族から「いつもの顔に戻った」「苦しそうな顔が消えた」と言われる瞬間が、納棺師にとって最もやりがいを感じる時でもあります。

  • 肌色補正: 変色をカバーし、自然な血色を足します。
  • 含み綿: 頬や口元に入れて、痩せた顔をふっくらさせます。
  • 口紅・眉: 故人の生前の写真などを参考に、その人らしいメイクを施します。

葬儀屋スタッフと納棺師は役割がどう違う?

「葬儀屋さんにお願いすれば、全部やってくれるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、実は役割が明確に分かれています。大きな病院で例えるなら、葬儀屋さんが「総合案内や事務手続き」、納棺師が「外科手術や処置を行う専門医」のようなイメージです。ここでは両者の違いをはっきりさせておきましょう。

葬儀全般の進行役と遺体ケア専門職の住み分け

葬儀社のスタッフ(葬祭ディレクター)の主な仕事は、式の段取りを決めることや、会場の設営、司会進行、参列者の案内など「運営」に関わる部分です。もちろんご遺体に触れることもありますが、彼らは遺体処置の専門家ではありません。スケジュール管理や見積もりの作成など、全体を統括するプロデューサーのような立ち位置です。

対して納棺師は、ご遺体のケアだけに特化した技術職です。式の進行や席順のことなどは管轄外ですが、ご遺体をきれいにして棺に納めるという一点において、圧倒的な技術と経験を持っています。「式を取り仕切るのが葬儀屋さん」「ご遺体をケアするのが納棺師」と覚えておくとわかりやすいでしょう。

葬儀社に所属する場合と専門会社から派遣される場合

納棺師には大きく分けて2つの働き方があります。1つ目は葬儀社の正社員として働いているケース、2つ目は「納棺専門会社」に所属し、葬儀社からの依頼を受けて現場へ派遣されるケースです。実は、後者の「派遣型」が業界ではかなり一般的です。

葬儀社の中に納棺部門がある大手企業もありますが、多くの中小葬儀社は、専門の納棺会社と提携しています。そのため、打ち合わせをした担当者とは別の人が、「納棺師の〇〇です」と当日にやってくることがよくあります。これは決して手抜きではなく、より専門性の高いスタッフを呼んでいるということなので安心してください。

  • 社内スタッフ: 葬儀社内部の納棺部門に所属。式の担当者と連携が取りやすい。
  • 専門業者(派遣): 複数の葬儀社から依頼を受けるプロ集団。技術力が高い傾向にある。

現場で両者が連携して行う作業の範囲

役割は違いますが、現場では協力して動くことも多いです。例えば、重たいご遺体を移動させる時や、棺の蓋を閉める時などは、葬儀スタッフと納棺師が息を合わせて行います。また、納棺の儀式が終わったあと、通夜会場へ棺を移動させるのは葬儀スタッフの役割になります。

納棺師がご遺体の処置をしている間、葬儀スタッフはご遺族に式の流れを説明したり、祭壇の準備を進めたりと、それぞれの持ち場でベストを尽くします。両者がうまく連携することで、ご遺族にとって不安のない、スムーズなお別れの時間が作られていくのです。

納棺師になるために必要な資格やスキルはある?

「納棺師になりたい」と思った時、何か特別な免許が必要なのでしょうか。医師や看護師のように国家資格が必要そうに見えますが、実は必須の資格はありません。しかし、誰でも明日からできるほど甘い世界ではなく、専門的な知識と技術が求められます。

特別な国家資格は不要だが求められる専門知識

日本において、納棺師になるための国家資格は存在しません。極端な話をすれば、名乗ったその日から納棺師として活動することは法律上可能です。しかし、実際にはご遺体の感染症対策や、死後変化のメカニズム、宗派ごとの作法など、膨大な知識が必要になります。

知識がないままご遺体に触れると、感染症のリスクがあったり、ご遺体を傷つけてしまったりする恐れがあります。そのため、多くの納棺師は会社に入ってから厳しい研修を受けたり、専門のスクールで学んだりして、一人前の技術を身につけています。「資格はいらないけれど、実力がないと現場には立てない」というのが本当のところです。

民間の専門学校や養成スクールで学べる技術

最近では、納棺師を育成するための専門学校や、民間のスクールが増えてきました。例えば、映画の監修にも関わったような方々が設立した「おくりびとアカデミー」のような専門機関があります。ここでは、座学で遺体の構造や宗教知識を学び、実習で着せ替えやメイクの技術を習得します。

こうしたスクールに通うメリットは、就職前に基礎ができているため、採用されやすくなる点です。また、同じ志を持つ仲間と出会えることも大きな財産になります。期間は数ヶ月から2年程度と学校によりますが、プロから直接指導を受けられる最短ルートと言えるでしょう。

  • 学ぶ内容: 遺体衛生保全、仏教・神道などの宗教知識、接遇マナー、グリーフケア。
  • メリット: 就職支援がある、基礎技術が身につく、業界のネットワークができる。

未経験から弟子入りや就職をして技術を磨くルート

もちろん、学校に通わずに未経験で葬儀社や納棺会社に就職する人もたくさんいます。この場合は「見習い」として先輩のアシスタントからスタートします。最初は荷物持ちや準備片付けを担当し、現場の空気に慣れるところから始まります。

現場で覚えることの良さは、本番の緊張感の中で実践的なスキルが身につくことです。ただし、先輩の技術を見て盗む姿勢や、厳しい指導に耐える忍耐力も必要です。現場叩き上げの納棺師は、マニュアルにはない臨機応変な対応力を持っていることが多く、非常に頼りになる存在です。

納棺師の給料や年収はどれくらいもらえる?

仕事のやりがいは十分ですが、生活していく上で収入も気になるところです。特殊な仕事だからすごく高いのか、それとも厳しいのか。求人情報や業界の相場をもとに、現実的な数字を見ていきましょう。

正社員として働く場合の平均的な給与水準

葬儀社や納棺専門会社の正社員として働く場合、平均年収は300万円〜500万円程度が相場と言われています。月給にすると20万円〜30万円前後からのスタートが多いようです。一般的な会社員と比べて極端に高いわけではありませんが、夜勤手当や出動手当などがつくことで上乗せされる場合があります。

ただし、これはあくまで平均です。未経験のうちは低めの設定ですが、経験を積んで「あの人に頼みたい」と指名されるレベルになれば、役職手当などがついて年収が上がる可能性は十分にあります。安定を求めるなら、福利厚生がしっかりしている大手の葬儀社や専門会社の正社員を目指すのがおすすめです。

独立やフリーランスで働く場合の収入モデル

実力をつけた納棺師の中には、独立してフリーランスとして活動する人もいます。葬儀社と業務委託契約を結び、「1件あたりいくら」という報酬を受け取るスタイルです。この場合の単価は数千円〜数万円と幅がありますが、件数をこなせば正社員以上の収入を得ることも可能です。

フリーランスの場合、自分の腕一本で稼げる夢がある一方で、仕事がない月は収入がゼロになるリスクもあります。また、道具や車両の維持費も自己負担になることが多いです。まずは会社で経験と人脈を作り、信頼を得てから独立するのが一般的な成功ルートと言えます。

担当件数や指名によって変動する給与の仕組み

会社によっては、基本給に加えて「歩合制」を取り入れているところもあります。例えば「1件担当するごとに◯◯円プラス」といった具合です。繁忙期(冬場など亡くなる方が多い時期)には件数が増えるため、給料が大きく跳ね上がることもあります。

また、ご遺族や葬儀社から「前回の担当者が良かったからまたお願いしたい」と指名が入ることもあります。指名料が還元されるシステムがある会社なら、技術と人柄を磨くことが直接収入アップにつながります。ただ作業をこなすだけでなく、心に残る仕事ができるかどうかが、収入を左右する鍵になります。

  • 歩合給: 担当件数に応じて加算される。体力勝負な面もある。
  • 指名料: 顧客満足度が高いスタッフへのボーナス。
  • 繁忙期: 冬場などは仕事が増え、収入も増える傾向にある。

仕事をしていて大変なことや向いている人の特徴

どんな仕事にも大変な面はありますが、納棺師は特に精神的・肉体的なタフさが求められます。美しい儀式の裏側にある、厳しい現実についても知っておきましょう。

ご遺体の状態変化に対応する精神力と体力

きれいなご遺体ばかりではありません。事故で損傷が激しい場合や、発見が遅れて腐敗が進んでいる場合、孤独死の現場などにも立ち会わなければなりません。強烈な臭いや凄惨な状態を目の当たりにしても、動揺せずに冷静に処置を行うプロ意識が必要です。

また、ご遺体は想像以上に重いです。脱力した成人男性の身体を支えて洗ったり、着替えさせたりするのはかなりの重労働です。腰を痛めて辞めてしまう人も少なくありません。「優しさ」だけでなく、どんな状況でも逃げ出さない「胆力」と、基礎的な「体力」が絶対に欠かせない仕事です。

悲しみの最中にいる遺族への言葉選びと配慮

仕事現場は常に「誰かが亡くなった場所」であり、ご遺族は深い悲しみの中にいます。何気ない一言が相手を傷つけてしまうこともあるため、言葉選びには細心の注意が必要です。明るすぎても不謹慎ですし、暗すぎてもご遺族の気持ちを沈ませてしまいます。

空気を読む力、察する力が非常に重要です。ご遺族が今どうしてほしいのか、そっとしておいてほしいのか、話を聞いてほしいのかを瞬時に判断しなければなりません。技術職でありながら、高度な接客業・サービス業としてのスキルも同時に求められるのです。

24時間体制で呼び出しに対応する不規則な生活リズム

人はいつ亡くなるかわかりません。そのため、納棺師の仕事には「定時」という概念が通用しにくい面があります。24時間体制で待機し、夜中や早朝に急な呼び出しがかかることも珍しくありません。友人と予定を合わせて遊ぶことが難しかったり、生活リズムが乱れがちになったりします。

ご遺体の状態は刻一刻と変化するため、「明日やります」と先延ばしにできない作業も多いのです。自分のプライベートよりも、故人とご遺族の都合を優先しなければならない場面が多々あります。この不規則な生活を受け入れ、誰かのために尽くすことに喜びを感じられる人でなければ、長く続けるのは難しいかもしれません。

  • 待機時間: いつ電話が鳴ってもいいように準備しておく必要がある。
  • 休日: シフト制だが、急な出勤要請があることも。
  • やりがい: 大変な分、ご遺族からの「ありがとう」の重みは格別。

納棺師を依頼する場合の費用相場と頼み方

もし自分が喪主になった時、納棺師にお願いするにはどうすればいいのでしょうか。費用がかかることなので、相場を知っておくことは大切です。いざという時に慌てないためのポイントをまとめました。

葬儀プランに含まれている場合とオプション料金の違い

最近の葬儀プランでは、最初から「納棺の儀」が含まれているセットプランも増えています。この場合は追加料金を気にせずお願いできます。しかし、格安プランや直葬(火葬のみ)のプランでは、納棺師による処置が含まれておらず、葬儀スタッフによる簡易的な対応のみになることが一般的です。

もしプランに含まれていない場合でも、オプションとして追加依頼することが可能です。「基本セットに入っているだろう」と思い込まず、見積もりの段階で**「納棺師さんによる処置は含まれていますか?」と必ず確認することをおすすめします。**

湯灌を行うかどうかで変わる金額の目安

費用は、どの程度の処置を頼むかによって変わります。大きく分けて「湯灌(入浴・洗浄)あり」か「湯灌なし(清拭・着替え・メイクのみ)」かで金額が異なります。

依頼内容費用相場処置の具体的な内容
湯灌あり10万〜15万円専用浴槽での全身洗浄、洗髪、顔剃り、着替え、死化粧、納棺
湯灌なし5万〜8万円アルコール等での清拭(身体を拭く)、着替え、死化粧、納棺
古式湯灌要相談畳の上でたらいを使って行う伝統的なスタイル(対応不可の業者もあり)

湯灌車を手配して行う本格的な湯灌は、設備や人手が必要なため費用が高くなります。予算を抑えたい場合は、湯灌なしの「清拭+メイク着替え」のコースを選ぶのもひとつの方法です。

信頼できる納棺師を手配してもらうための確認事項

納棺師は基本的に葬儀社を通して手配します。依頼する際は、葬儀社の担当者に「故人をきれいにしてあげたいので、専門の納棺師さんをお願いしたい」と伝えましょう。その際、もし故人に着せたい服があるなら、それが着せられる素材や形状かどうかも確認しておくとスムーズです。

また、要望があれば具体的に伝えてください。「闘病で痩せてしまった頬をふっくらさせたい」「生前愛用していた口紅を使ってほしい」など、リクエストがあれば可能な限り応えてくれます。遠慮せずに相談することが、後悔のないお別れにするための第一歩です。

  • 伝えること: 予算、着せたい服、メイクの要望、故人の生前の様子。
  • 確認すること: 湯灌の可否(できるかどうか)、所要時間、立ち会いのタイミング。

この記事のまとめ

納棺師は、映画のイメージ通り「おくりびと」として美しい儀式を行うだけでなく、解剖学的な知識と技術でご遺体を生前の姿に近づけるプロフェッショナルです。

  • 仕事の本質: 遺体の衛生保全、修復、そして遺族の心のケア(グリーフケア)。
  • 湯灌と死化粧: 逆さ水などの作法で身を清め、顔色を整えて安らかな表情を作る。
  • 資格と収入: 国家資格は不要だが高い専門性が必要。年収は300〜500万円が目安。
  • 依頼方法: 葬儀プランに含まれるか要確認。相場は5〜15万円程度。
  • 心構え: 大変な仕事だが、遺族の「ありがとう」が何よりの報酬になる。

大切な人が亡くなった時、その身体を最後にケアできるのは納棺師だけです。もし葬儀のことで迷ったら、ぜひこの「おくりびと」の力を借りてみてください。きれいに整えられた故人の顔を見ることで、悲しみの中にも「しっかり送ってあげられた」という温かい気持ちが残るはずです。