【サステナブルな葬儀とは?】環境に優しい選択肢7選と費用を解説

サステナブルな葬儀とは? お葬式

近年、SDGsや環境問題への関心が高まる中、「サステナブルな葬儀とはどのようなものか」と考える方が増えています。従来の葬儀は、形式を重んじる一方で、資源の消費やCO2排出といった環境負荷が課題とされてきました。

サステナブルな葬儀とは、こうした環境への影響を最小限に抑え、未来の世代にも配慮したお見送りの形です。それは単に「質素にする」ことではなく、故人や遺族の意思を尊重しつつ、地球環境にも優しい選択をすることを意味します。

この記事では、サステナブルな葬儀が注目される背景から、樹木葬やダンボール製の棺(エコフィン)といった具体的な選択肢、そしてそのメリットや注意点までを詳しく解説します。自分らしい、そして未来につながる「終活」のヒントとして、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • サステナブルな葬儀が注目される具体的な理由
  • 従来の葬儀が環境に与える影響
  • 環境に優しい葬儀の具体的な選択肢7選
  • サステナブルな葬儀を選ぶ際のメリットと注意点

サステナブルな葬儀:地球に優しいお別れの形とは

近年、環境への配慮を重視する「サステナブルな葬儀」が注目を集めています。

従来の葬儀が、意識されることなく環境へ負荷をかけてきた側面があるためです。この記事では、最新のデータや具体的な事例を交えながら、サステナブルな葬儀の考え方と選択肢を分かりやすく解説します。

火葬が主流の日本における環境への影響

火葬が主流の日本における環境への影響

現代の日本では火葬がごく一般的ですが、それが環境に与える影響について考えてみましょう。

日本の高い火葬率とCO2排出の実態

厚生労働省の2022年度の統計によると、日本の火葬率は99.97%に達しており、世界でも際立って高い水準です 。この背景には、衛生面への配慮や都市部での土地不足といった理由があります 。

しかし、火葬は環境への負荷も伴います。1回の火葬では約200kgから250kgの二酸化炭素(CO2)が排出されると推定されています 。

これは、ガソリン乗用車が2,000km以上走行した際の排出量に相当し 、1回の火葬で約115リットルの燃料が消費されるとの試算もあります 。また、棺の素材によっては、燃焼時に有害物質が発生する可能性も指摘されています。

葬儀における資源消費と廃棄物の課題

葬儀では、一度きりの使用を目的とした品々が多く用いられ、資源の消費と廃棄物の問題も考えなければなりません。

豪華さの裏にある資源の問題

木材をふんだんに使用した豪華な祭壇や棺は、貴重な森林資源を消費します [ユーザー提供文章]。また、葬儀で一度だけ使われる返礼品や会葬礼状なども、結果として多くの廃棄物を生み出す一因となっていました [ユーザー提供文章]。

環境に配慮した新しい選択肢

こうした課題に対し、環境負荷を低減するための様々な選択肢が登場しています。

エコな棺: 間伐材や再生紙、段ボールなどで作られた「エコフィン」は、CO2排出量や有害ガスの発生を抑えることができます 。竹製の棺なども、環境に優しい選択肢の一つです 。

エコな祭壇: 花祭壇では、花の廃棄を減らすため、吸水性スポンジの使用を抑えたり、再利用可能な造花を組み合わせたりする工夫がされています 。また、照明にLEDを使用することも環境負荷の軽減につながります 。

その他の取り組み: 参列者への返礼品を、環境保護団体などへの寄付つきのものにすることも可能です 。また、移動の際にはハイブリッド車などの環境配慮型霊柩車を選ぶという選択肢もあります 。

広がるサステナブルな葬送の形

火葬や葬儀のあり方そのものにも、新しい潮流が生まれています。

火葬方法の進化: 木質ペレットなどのバイオマス燃料を用いる「エコ火葬」は、従来の火葬に比べてCO2排出量を40〜60%削減できるとされています 。

自然に還るという選択: 火葬後の遺骨を墓石ではなく、樹木のもとに埋葬する「樹木葬」や、海に散骨する「海洋散骨」も広がりを見せています 。樹木葬は、従来の墓石を建てる埋葬方法に比べ、CO2排出量を大幅に削減できるというデータもあります 。

地域と共生する里山葬: 自然公園などを活用し、地域コミュニティと連携しながら故人を弔う「里山葬」といった、新しい形の自然葬も始まっています 。

環境に優しい「サステナブルな葬儀」の具体的な選択肢

環境負荷を減らすための選択肢は、葬送の方法から使用するアイテムまで多岐にわたります。ここでは代表的な7つの方法をご紹介します。

【葬送方法】自然に還る「樹木葬」

樹木葬は、墓石の代わりに樹木をシンボル(墓標)とし、その周辺に遺骨を埋葬する方法です。

メリット: 墓石の採掘や加工にかかるエネルギーが不要です。遺骨もやがて土に還るため、自然のサイクルの一部となれます。また、一般的なお墓に比べて費用が抑えられる傾向があります。

注意点: 一度埋葬すると遺骨を取り出せない(合祀)場合が多いことや、お墓参りの対象が具体的な墓石ではないことに、親族が戸惑う可能性があります。

【葬送方法】海へ還る「海洋散骨」

海洋散骨は、粉末状にした遺骨(粉骨)を海に撒く葬送方法です。

メリット: 墓地や墓石が不要なため、資源を消費しません。「自然が好きな故人を海に還したい」という遺族の想いを形にできます。墓地の管理費なども発生しません。

注意点: 散骨できる海域は法律や条例で定められており、どこでも撒けるわけではありません。また、樹木葬と同様に「お参りの対象」がなくなるため、手元供養用の遺骨を一部残しておくなどの配慮が必要になる場合があります。

【葬具】火葬時のCO2を削減する「ダンボール棺(エコフィン)」

近年、最も注目されているアイテムの一つが、ダンボールや再生紙で作られた「エコフィン」です。

メリット: 従来の木製の棺に比べ、製造時や火葬時のCO2排出量を大幅に削減できます。木材の使用量も最小限に抑えられます。組み立ても容易で、軽量なため取り扱いやすいのも特徴です。

注意点: 見た目が質素に感じられる可能性があり、親族への事前説明が重要です。「ダンボール」という響きに抵抗を感じる方もいるため、「環境配慮型の棺」といった伝え方の工夫が求められます。

【葬具】土に還る素材の「エコ骨壷」

樹木葬や散骨、あるいは土葬(※日本では稀)を選ぶ場合、遺骨を納める骨壷も環境配慮型が選ばれています。

メリット: トウモロコシのでんぷんなど、100%生分解性の素材で作られた骨壷は、土中や水中で自然に分解されます。環境に有害物質を残さず、遺骨を大地や海に還すことができます。

注意点: 自宅での手元供養には不向きです。あくまで「自然に還す」ことを前提とした製品です。

【運営】資源を使わない「小規模葬・直葬」

故人とごく親しい家族・親族のみでお見送りをする「家族葬」や、通夜・告別式を行わず火葬のみを行う「直葬(火葬式)」も、結果としてサステナブルな選択肢となります。

メリット: 参列者が少ないため、会場の規模、祭壇、飲食、返礼品などが最小限で済みます。これにより、資源の消費や廃棄物を大幅に削減でき、費用も抑えられます。

注意点: 故人とのお別れを望んでいた知人・友人が参列できない可能性があります。後日、弔問の対応に追われたり、関係者への丁寧な事後報告が必要になったりする場合があります。

【運営】エネルギーを節約する「デジタル弔問・オンライン葬儀」

コロナ禍を機に広がった、IT技術を活用した葬儀形態です。

メリット: 遠方からの参列者が移動(飛行機、車など)する必要がなくなるため、移動に伴うCO2排出を削減できます。また、香典や供花をオンラインで受け付けることで、返礼品などの準備や配送にかかる資源も節約できます。

注意点: 高齢の親族など、IT機器の操作に不慣れな方へのサポートが必要です。また、直接対面でのお別れができないことに寂しさを感じる方もいます。

【その他】海外の新しい取り組み

海外では、より進んだサステナブルな葬送方法も研究・実用化されています。

キノコ葬(Mushroom Suit): 遺体にキノコの菌糸をまとわせ、分解を早めて土に還す方法。

アルカリ加水分解(水葬): 遺体を強アルカリ性の溶液で分解し、液体と骨片にする方法。火葬よりエネルギー消費が少ないとされています。

サステナブルな葬儀を選ぶメリット

環境面以外にも、サステナブルな葬儀には多くの利点があります。

環境負荷(CO2排出)を大幅に削減できる

最大のメリットは、葬儀全体を通じて環境への負荷を減らせることです。火葬時のCO2削減、資源の節約、廃棄物の削減など、地球環境の保全に直接的に貢献できます。

葬儀費用を抑えられる可能性がある

豪華な祭壇や高価な棺を選ばず、参列者を限定する小規模な葬儀は、従来の一般葬に比べて費用を大幅に抑えられるケースが多くあります。その分を、故人が望んでいた団体への寄付に回すといった選択も可能です。

故人や遺族の「自分らしさ」を反映できる

サステナブルな葬儀は、従来の形式にとらわれない自由な発想で行われることが多いです。「自然が好きだったから樹木葬を」「華美なことは望まない」といった故人の遺志や、遺族の価値観を色濃く反映した、温かみのあるお見送りが可能になります。

サステナブルな葬儀のデメリットと注意点

多くのメリットがある一方、新しい選択肢だからこその注意点も存在します。

親族や関係者の理解が得にくい場合がある

特に年配の親族や、伝統的な形式を重んじる方々にとって、「ダンボールの棺」や「直葬」といった選択は、受け入れがたい場合があります。「故人を軽んじている」と誤解されないよう、なぜその選択をしたのか、故人の遺志や環境への配慮といった理由を事前に丁寧に説明し、理解を求めるプロセスが不可欠です。

選択肢によっては遺骨が手元に残らない

樹木葬(合祀タイプ)や海洋散骨は、一度行うと遺骨を取り戻すことはできません。「お墓参りをする対象が欲しい」という親族がいる場合、一部の遺骨を手元供養(小さな骨壷で自宅に置く)にするなどの配慮も必要です。

対応できる葬儀社が限られるケースも

エコフィンやエコ骨壷といった特定のアイテムは、全ての葬儀社が取り扱っているわけではありません。また、オンライン葬儀の配信システムなども、対応できる葬儀社はまだ限られています。事前に情報収集し、自分たちの希望に対応可能な業者を探しておく必要があります。


よくある質問(FAQ)

Q1. サステナブルな葬儀の費用はどれくらいですか?

A. 選択肢によります。例えば「直葬(火葬式)」を選び、棺を「エコフィン」にした場合は、従来の一般葬(全国平均100万円以上)に比べ、総額20〜40万円程度に抑えられるケースが多いです。「樹木葬」も墓石代がかからないため、一般的なお墓より安価な傾向があります。

Q2. 宗教や宗派に関係なく選べますか?

A. 多くのサステナブルな葬儀(樹木葬、海洋散骨、直葬など)は、特定の宗教・宗派を問わない「無宗教」形式で行うことが可能です。もちろん、菩提寺がある場合でも、お坊さんにお経をあげていただいた上で、棺をエコフィンにするといった柔軟な対応も可能です。

Q3. 従来の葬儀と比べて、何が一番違いますか?

A. 「形式」よりも「故人や遺族の価値観」を優先する点です。従来の葬儀が「行うべき儀式」を重視するのに対し、サステナブルな葬儀は「環境への配慮」や「故人らしさ」といった想いを軸に、葬儀の内容やアイテムを自由に(あるいは最小限に)選択する点が大きく異なります。

Q4. ダンボール棺(エコフィン)は火葬で問題ないですか?

A. はい、全く問題ありません。火葬場の基準を満たすように設計されており、強度もご遺体を安置・搬送するために十分確保されています。むしろ、従来の棺より短時間で燃焼し、CO2排出量も少ないため、環境面で優れています。

Q5. まず何から始めればよいですか?

A. まずは「エンディングノート」などを活用し、ご自身がどのようなお見送りを望むか、大切にしたい価値観は何かを書き出してみることをお勧めします。その上で、サステナブルな葬儀に対応している葬儀社の資料を取り寄せ、具体的な選択肢や費用を比較検討してみましょう。

まとめ:サステナブルな葬儀とは「未来へ配慮したお見送り」

サステナブルな葬儀とは、単に費用を抑えたり、質素にしたりすることではありません。それは、故人や遺族の想いを大切にしながら、同時に地球環境や未来の世代にも配慮する、新しいお見送りの価値観です。

従来の葬儀が持つ環境負荷を見直し、樹木葬や海洋散骨、エコフィン(ダンボール棺)といった選択肢を取り入れることで、CO2排出や資源の浪費を減らすことができます。

もちろん、伝統的な形式を重んじる親族への配慮は必要ですが、「故人らしさ」と「環境への優しさ」を両立できるのが、サステナブルな葬儀の最大の魅力です。

ご自身の終活を考える際、あるいはご家族のお見送りを考える際に、「未来への配慮」という視点を加えてみてはいかがでしょうか。