「急に葬儀の予定が入ったけれど、手持ちの服で大丈夫かな」「周りから浮いて失礼にならないか心配」と、鏡の前で悩んでしまう人は少なくありません。悲しみの場だからこそ、マナーを守った装いで最後のお別れをしたいものです。
この記事では、初めて喪服を買う人から買い替えを考えている人まで、失敗しない選び方をわかりやすく紹介します。自分にぴったりの1着を見つけるための参考にしてください。
レディース喪服の正しい選び方は「黒の色味」と「丈」で決まる
喪服選びで最も失敗しやすいのが、色の濃さとスカートの長さです。お店の明るい照明の下では同じように見えても、屋外や葬儀会場で見ると黒の深さが全く違って見えることがあります。
ビジネススーツとは違う「深い黒」の生地を見極める
喪服に使われる黒は「漆黒(しっこく)」と呼ばれ、何度も染め重ねられた吸い込まれるような深い色が特徴です。仕事用のブラックスーツと並んでみると、喪服の方が圧倒的に黒く、スーツの方はグレーっぽく見えてしまいます。
会場で周りの参列者と並んだときに、自分の服だけ色が薄いと、マナーを知らないと思われてしまうかもしれません。ポリエステル100%でも、高品質なものは「濃染加工」という特別な処理がされているので、しっかりと黒いものを選びましょう。
座っても膝が隠れる長めのスカート丈を基準にする
喪服のスカート丈は、立った状態で膝が完全に隠れる長さが基本です。さらに注意したいのが座ったときで、膝頭が見えてしまうのはマナー違反とされています。
- 立ったときに膝下5cmから10cm程度あるものを選ぶ
- 着丈が100cmから110cm前後のものなら安心
- 椅子に座って鏡を見て、膝が出ないかチェックする
購入するときは必ず試着をして、一度椅子に座って長さを確かめるのが一番確実な方法です。
季節を問わずに着まわせる「アンサンブル」を選ぶ
ワンピースの上にジャケットを羽織る「アンサンブル」タイプは、1年中いつでも着られるのでとても重宝します。夏はワンピース1枚で過ごし、春・秋・冬はジャケットを合わせることで、気温の変化に対応できるからです。
最近のワンピースは前開きファスナーになっているタイプが多く、後ろに手を回さなくても1人で簡単に着替えられます。1着持っておくだけで、季節を気にせずどんなお別れの場にも対応できるのがアンサンブルの強みです。
20代から30代が初めて選ぶ年代別のポイント
初めての喪服選びは、予算も気になるし、どんなデザインがいいか迷ってしまいますよね。まずは「背伸びしすぎず、でも安っぽく見えないもの」を基準にするのがおすすめです。
手頃な価格でも安っぽく見えないポリエステル素材
20代や30代なら、シワになりにくいポリエステル素材の喪服が使いやすくて便利です。自宅の洗濯機で洗えるウォッシャブルタイプも増えているので、クリーニング代を抑えたい人にも向いています。
- シワになりにくく、長時間の参列でも綺麗に見える
- ネットに入れて家で洗えるものなら手入れが楽
- 比較的リーズナブルな価格帯から見つけられる
安いからといって色が薄いものは避け、マットな質感でテカテカしていない生地を探してみてください。
体型の変化を見越して少しゆとりのあるサイズにする
喪服は一度買うと10年近く着ることも珍しくありません。20代の今の体型にぴったりすぎるサイズを選ぶと、数年後にきつくなって着られなくなる恐れがあります。
肩幅やウエストに少し余裕があるものを選んでおくと、将来的に少し体型が変わっても安心です。「今は少し大きいかな」と感じるくらいが、長く大切に着続けるための賢い選び方と言えます。
リボンが取り外せるなど長く使えるデザインを探す
若いうちはリボンがついた可愛らしいデザインに惹かれますが、30代後半になっても着ることを考えると、シンプルさが重要です。リボンが安全ピンで取り外せるタイプなら、年齢に合わせて雰囲気を変えられます。
- 取り外し可能なリボン付きなら、慶弔両用でも使いやすい
- 襟元がスッキリしたノーカラージャケットは長く飽きがこない
- フレアスカートすぎない、広がりを抑えたシルエットを選ぶ
「10年後の自分もこの服を着て恥ずかしくないか」を想像しながら選ぶのが、買い替えの回数を減らすコツです。
40代や50代が品良く見える年代別レディース喪服の選び方
この年代になると、参列する立場も変わってきます。親族として迎える側になることも増えるため、マナーに加えて「質の良さ」や「着心地の良さ」を重視して選びたいところです。
膝下10cm以上のロング丈で落ち着いた印象を作る
40代以降は、膝が隠れるのはもちろんのこと、ふくらはぎの中間くらいまであるロング丈が上品に見えます。短い丈は若々しすぎて落ち着きがない印象を与えてしまうことがあるので注意が必要です。
ロング丈は足元を隠してくれるので、足のむくみや冷えが気になる人にも優しいデザインです。長めの丈を選ぶだけで、立ち居振る舞いが優雅に見え、大人の女性としての気品が漂います。
体型を拾わないウエストゴムや前開きファスナーの利便性
更年期などで体型が変わりやすい時期でもあるので、着ていて苦しくない工夫がある服を選びましょう。ウエストがゴム仕様になっていたり、締め付けの少ないサックワンピースタイプがおすすめです。
- 前開きファスナーなら、肩が上がりにくくなっても脱ぎ着がスムーズ
- ゆとりのある袖口のデザインは、動きやすくて疲れにくい
- ウエストの切り替えが高い位置にあると、スタイルが良く見える
特にお通夜から葬儀まで長時間着ることも多いため、締め付けが少なく「楽に着られること」は非常に大きなポイントです。
質の良さが伝わるウール混やトリアセテートの生地感
より深い黒と上品な光沢を求めるなら、ウール(毛)が混ざった素材や、トリアセテートという高級な化学繊維を使ったものが向いています。これらの素材は肌触りが滑らかで、見た目にも高級感があるのが特徴です。
こうした上質な素材は通気性や吸湿性にも優れているため、夏は涼しく冬は暖かく過ごせます。百貨店ブランドで扱われるような上質な1着は、手入れさえしっかりすれば10年以上経っても古臭さを感じさせません。
安心して購入できるおすすめブランドの特徴
どこで買えばいいか迷ったら、自分の予算と「いつまでに必要か」を考えてお店を選びましょう。ここでは、代表的な3つの購入先を比較して紹介します。
しまむらやイオンは急な入り用でも予算を抑えられる
「明日までに必要だけど、高いものは買えない」というときに頼りになるのが、量販店です。しまむらやイオンなどの大型店では、1万円台からセットアップの喪服が手に入ります。
安価ですが最近のものはデザインも洗練されており、基本的なマナーはしっかり押さえられています。急ぎでとりあえず一式揃えたい場合や、数年ごとに買い替える前提であれば、コストパフォーマンスは抜群です。
AOKIや洋服の青山はサイズ展開が豊富で試着もスムーズ
紳士服専門店として知られるお店ですが、レディースの喪服コーナーも非常に充実しています。5号から20号を超える大きなサイズまで揃っていることが多く、自分に合うサイズを見つけやすいのが魅力です。
店員さんがマナーに詳しいので、自分に似合うデザインや小物の合わせ方まで相談に乗ってもらえます。
| 項目 | しまむら・イオン | AOKI・洋服の青山 | 東京ソワール(百貨店) |
| 価格帯 | 1万円〜2万円 | 3万円〜6万円 | 7万円〜15万円 |
| 黒の濃さ | 標準的 | 濃い | 非常に深い(漆黒) |
| 主な素材 | ポリエステル | ポリエ・ウール混 | ウール・トリアセテート |
| 特徴 | とにかく安い | サイズが豊富 | 質が良く一生もの |
東京ソワールなどの百貨店ブランドは一生ものの1着になる
百貨店のフォーマル売り場にあるブランドは、黒の色の深さが別格です。特に「東京ソワール」などは日本のフォーマル文化を牽引してきた老舗で、日本人の体型を最も綺麗に見せるカッティングがされています。
お値段は張りますが、生地の厚みや仕立ての良さが一目でわかるため、誰に見られても恥ずかしくない自信が持てます。大切な方を見送る最後の席に、最高級の正装で臨みたいという方に選ばれています。
購入前に知っておきたいレディース喪服の注意点
デザインが気に入っても、実は喪服として使えないものも紛れています。買った後で後悔しないために、NGポイントをしっかりチェックしておきましょう。
光沢のある素材やサテン生地はマナー違反になる
お葬式は「光るもの」を避けるのが鉄則です。生地にツヤがあるものや、キラキラしたラメが入っているものは絶対に避けなければなりません。
サテン生地が襟元やポケットに少し使われている程度なら許容範囲ですが、全体的に光って見えるものはパーティー用のドレスに見えてしまいます。どんなに高級な生地でも、光を反射しないマットな質感のものを選ぶのが正解です。
派手な金具やボタンが付いていないか確認する
金色のボタンや大きな飾りバックルが付いているものは、お祝い事の印象が強くなるため、お葬式には向きません。ボタンはくるみボタン(生地で覆われたもの)や、目立たない黒いものになっているか確認してください。
- 金や銀の飾りボタンは避ける
- チャームなどの装飾は取り外す
- ファスナーが目立たないデザインを選ぶ
意外と見落としがちなのが袖口のボタンです。細部まで黒で統一されているか、厳しい目でチェックしましょう。
二の腕が露出しないよう袖の長さにも気をつける
夏の暑い時期でも、肩や二の腕を出すのは避けるのがマナーです。ワンピース1枚で過ごす場合でも、袖は最低でも五分袖、できれば七分袖くらいあるものを選んでください。
肌の露出を抑えることは、故人への敬意を表すことにも繋がります。 透け感のあるシフォン素材の袖も、あまりに透けすぎるものは避けた方が無難です。
どこで買うのが便利?販売店ごとの違い
最近はネットで喪服を買う人も増えていますが、実店舗とどちらがいいのでしょうか。それぞれのメリットを知って、自分に合った買い方を選んでください。
ネット通販は自宅でゆっくり選べてサイズ交換も可能
楽天やAmazon、フォーマル専門のネットショップなどは、とにかく種類が豊富です。お店を回る時間がなくても、夜中にじっくり比較して注文できるのが大きなメリットです。
最近のネットショップは「試着サービス」を行っているところも多く、サイズ違いを2着送ってもらい、合わない方を返品することもできます。家にある靴やバッグと合わせて鏡の前で確認できるので、トータルコーディネートに失敗しません。
紳士服専門店ならプロのアドバイスを受けながら購入できる
「何を着ればいいか全くわからない」という人は、迷わず実店舗へ行きましょう。青山やAOKIなどの店員さんはフォーマルの知識が豊富なので、マナーに沿ったアイテムを提案してくれます。
その場で裾上げをしてくれる店舗もあり、急ぎでその日のうちに持ち帰りたい場合にも心強い味方です。
即日持ち帰りができるショッピングモールの利点
イオンなどのショッピングモールは、喪服だけでなくストッキングや数珠、ふくさなども同じフロアで揃えられるのが便利です。
- 試着してその場でフィット感を確かめられる
- 周辺の小物も一気に揃うので買い忘れがない
- 食料品などの買い物のついでに気軽に立ち寄れる
専門知識を持つスタッフが常駐していることが多いので、サイズ感で迷ったときもすぐに相談できます。
足元やバッグなど小物のマナーも忘れずに
喪服が完璧でも、小物がマナー違反だと台無しになってしまいます。意外と忘れがちな足元や持ち物のルールも確認しておきましょう。
靴は光沢のない本革か布製のパンプスを揃える
靴は黒のパンプスが基本ですが、エナメル素材のような光るものはNGです。また、殺生を連想させるワニ革やヘビ革の型押しも避けなければなりません。
ヒールの高さは3cmから5cm程度で、少し太めのものが疲れにくく、歩く音も響きにくいのでおすすめです。リボンなどの飾りがついていない、シンプルなプレーントゥのパンプスを用意しておきましょう。
パールネックレスは一連で粒の大きさが揃ったものにする
アクセサリーをつけるなら、パールのネックレスが最も無難です。色は白、黒、グレーのいずれかで、必ず「一連」のものを選んでください。
- 二連のネックレスは「不幸が重なる」とされるため厳禁
- 粒が大きすぎると派手になるので、7mm〜8mm程度が理想
- 金具もシルバーなど目立たない色にする
ピアスやイヤリングをつける場合は、ネックレスとお揃いのパールの1粒タイプにしましょう。
ストッキングは肌が透ける黒の20デニールを用意する
意外と間違えやすいのがストッキングです。喪服のときは、黒で少し肌が透ける「20デニール以下」のものが正装とされています。
寒いからといって厚手の黒タイツを履くのは、カジュアルな印象になるためマナーとしては好ましくありません。どうしても寒い場合は、会場に着くまでは厚手のものを履き、着いてから履き替えるなどの工夫をしましょう。
買い替えのタイミングや寿命の目安
喪服にも寿命があります。いざ着ようと思ったときに「これじゃ出られない」と焦らないよう、定期的にチェックしておくことが大切です。
生地がテカってきたり色あせたりしたら新調する
何年も前に買った喪服は、ハンガーの跡がついたり、生地が擦れてテカテカ光ってきたりすることがあります。また、古いものは黒の色が抜けて、茶色っぽく変色している場合もあります。
お葬式の会場で他の人の新しい喪服と並んだとき、色あせた服は想像以上に目立ってしまいます。 5年に一度はクローゼットから出して、明るい場所で色の状態を確認してください。
10年以上前のデザインは丈が短いことが多いので見直す
昔の喪服は、今の基準で見ると丈が短くデザインされていることがあります。若い頃に着ていたものをそのまま着ようとすると、膝が見えてしまってマナー違反になることも。
今の自分の年齢にふさわしい丈感かどうか、鏡の前でしっかり確認しましょう。
- 膝がしっかり隠れるか再確認する
- 今の流行に左右されない、落ち着いたシルエットか見る
- 肩パッドが入りすぎていないかなど、古臭さをチェックする
10年一昔と言われるように、フォーマルの流行も少しずつ変化しています。 デザインが古いと感じたら、思い切って買い換えるのが賢明です。
体型が変わって動作がしにくくなったら買い替える
一番多い買い替えの理由は、やはり体型の変化です。「チャックは閉まるけれど、座るときつい」「腕が回らなくてお焼香がしにくい」という状態では、お別れの儀式に集中できません。
窮屈な服はシワも寄りやすく、見た目もあまり美しくありません。無理して古いものを着るよりも、今の自分を一番綺麗に見せてくれるサイズに更新しましょう。
この記事のまとめ
レディースの喪服選びは、単におしゃれをするのではなく、故人とそのご家族への敬意を形にすることでもあります。
- 黒の色味は「漆黒」と呼ばれる深い色のものを選ぶ
- スカート丈は膝下まであるものを選び、座っても膝が出ないか確認する
- 1年中使えるアンサンブル(ワンピース+ジャケット)が最も便利
- 年代に合わせて、40代以降はロング丈や上質な素材を重視する
- 靴やバッグは光沢のない黒で統一し、パールは必ず一連にする
- 急ぎなら量販店や紳士服専門店、質にこだわるなら百貨店を利用する
- 10年を目安に、色あせやサイズ、丈の長さをチェックして買い替える
自分にぴったりの1着を揃えておくことで、もしもの時も慌てず、心穏やかに大切な方を見送ることができるようになります。
